森友公文書改ざん、国賠訴訟始まる

改ざんの指示など問題の全体像がどこまで解明されるか…

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俊夫さんは亡くなる前、趣味で篆刻(てんこく)に取り組んでいた。
俊夫さんが残した練習の下書きを雅子さんは大切に保管している=大阪市内
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学校法人森友学園への国有地売却に絡む公文書を財務省が改ざんした問題で、改ざんを強いられたとする手記を残し、命を絶った同省近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(49)が国と当時の同省理財局長に損害賠償を求めた裁判が令和2年7月15日、大阪地裁で始まった。焦点は、改ざんの指示など問題の全体像がどこまで解明されるかだ。

第1回口頭弁論が15日、大阪地裁(中尾彰裁判長)で行われた

学校法人森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で、自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻雅子さん(49)が国と当時財務省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に計約1億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回弁論が15日、大阪地裁(中尾彰裁判長)であった。 国と佐川氏側は請求棄却を求め争う姿勢を示した。
雅子さんは初めて法廷で意見陳述し、財務省幹部らの指示とされる改ざんについて、「夫は犯罪と受け止め、国民に死んでおわびすることにした。残した手記は国民への謝罪文だと思う。国は自死の真相を知りたい私の思いを裏切り続けてきた」と指摘。その上で「理財局幹部、近畿財務局幹部の人たちも事実をありのままに話してほしい。一番重視しているのは夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにすること」と訴えた。

第1回口頭弁論後

亡くなった赤木俊夫さんが持っていた遺品の国家公務員倫理カードを手に記者会見する妻の雅子さん=15日午後、大阪市
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訴状によると、赤木さんは改ざんを強制され、長時間労働の結果うつ病を発症して、2018年3月に自殺。雅子さんは令和2年3月、国などを提訴し、改ざんは当時理財局長だった佐川氏の指示だったとする夫の手記を公表した。これに対し、国側は答弁書で、改ざんは当時の理財局幹部が関与し近畿財務局幹部の判断で協力したことを認めたが、反論は追って書面で行うとした。佐川氏側は、違法に損害を与えた公務員個人は賠償責任を負わず、国が負うので賠償請求は失当だと主張した。
雅子さんは記者会見し、「犯罪を指示していないのであれば『指示していない』と(佐川氏)本人から聞きたい。真面目に答えていないと感じた」と被告側の主張に疑問を投げ掛けた。生前の夫の写真を手元に置き、裁判について「長い闘いになると思うが(夫と)一緒に闘っていきたい。きょうスタート(地点)に立てた」と決意を示した。 阿部総理の一言から始まった公文書の偽造。トカゲのしっぽ切りのようにされて自殺した末端の公務員はたまらない。