「相続で大切な資産を失わないために」

タウンニュース連載記事 2017年4月14日(金)

「相続で大切な資産を失わないために」

地元密着33年、全国各地でセミナー講師を務め、当紙でも「税制Q&A」コーナーを連載している税理士の西山裕志氏。
今回は表題の件についてお話しいただきました。

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相続税に関する特例の内、相続税が少なくなる特例の代表的なものが「小規模宅地等の特例」です。
これは個人事業用の宅地や居住用に使用していた宅地の 内、一定の面積について最大80%評価を減額して申告するものです。

この法律の適用要件は複雑で、居住用の場合、亡くなった方が本当に住んでいたのか、配偶者はいるのか、老人ホームに入居して空き家だったのか、介護認定を受けていたのか、同居の相続人はいたのか、相続人の住んでいる家が誰 の名義かによってもこの特例を適用ができたり、できなかったりします。

自宅を配偶者でない同居の親族が相続した場合、申告期限までに売却してしまったり、また、事業用や賃貸不動産を相続税の申告期限までに売却してしまうと、せっかくの特例が適用できません。
ご依頼のあったときにはもう既に売却されていて適用が出来ないことも有りました。

相続税法の特例の要件は、時代とともに少しずつ改正されます。
今までだったら何の問題もなく受けられた特例が、要件が改正されることで全く受けられない場合や、住宅ローン控除を受けるために建物を区分所有していたら半分しか受けられないことも有ります。
特例の適用有無によって1億の土地を1億で申告するのか、2000万円で申告できるのかで大きく相続税額が変わります。

ご不安やご不明点がある場合、相続開始前はもちろんのこと、相続開始後であっても少しでも早くご相談いただくことが相続人にとって最良の選択と思います。