事業承継税制

事業承継税制とは

事業承継税制
簡単に言いますと、後継者の税金の負担を軽くする制度です。

中小企業の後継者が、会社の株式などを先代から相続または贈与により取得した場合に、その後の事業承継に支障が出ないように、相続税・贈与税の納税が軽減(猶予や免除)される特例制度です。

相続税の節税は勿論、条件を満たした会社経営を続けて行くことで、半永久的に猶予してもらうことができる上、最終的に100%免除が可能となりました。

事業承継税制の成り立ち

実はこの制度は平成20年税制改正によりスタートしました。
しかし、この制度の適用条件が非常に厳しかった為、実際に事業承継税制を適用する例は多くはありませんでした。

この様な事も踏まえ、平成25年度税制改正で一度見直され、更に平成30年度税制改正ではこれまの措置に加え、より使い易い税制へと改正されました。

相続税と贈与税

事業承継税制は、株式を承継することで発生する納税の猶予、免除制度であり、相続税と贈与税に分けられます。
後継者が先代経営者から株式を相続(または贈与)により取得する際に、その相続税(または贈与税)の納税が猶予されます。

相続税については、その後、後継者が死亡した場合には免除されます。
贈与税については、その後、先代経営者または後継者が死亡した場合には免除されます。

平成30年度税制改正について

中小企業の事業承継をより一層利用し易くするため、平成30年度税制改正により、事業承継時の贈与税・相続税の納税を猶予する事業承継税制が大きく改正され、10年間限定(平成39年12月31日まで)の特例措置が設けられました。

これまでの制度の内容と改正後の内容を比較したものを、以下の表に示します。

現行制度 改正後
対象株式数について 納税猶予の対象は、先代から取得した株式のうち、2/3の上限がある →相続税は猶予割合が80%だが、53%に減ってしまう 対象株式数の上限を撤廃(2/3→3/3)し、猶予割合を100%に拡大 →事業承継時の贈与税・相続税の現金負担がゼロになる
対象者の拡充 税制対象者は、一人の先代経営者から一人の後継者へ贈与・相続する場合のみ 複数の株主から、代表である最大3人の後継者への承継も対象 →中小企業の実状に合わせた多様な事業承継支援
経営環境に応じた免税 自主廃業・売却時は、事業承継時の株価を基に、贈与・相続税を納税 →過大な税負担 売却・廃業時の株価を基に納税額を再計算し、減免可能とする →将来の不安を軽減
雇用に関して 平成25年度税制の適用後、5年間で平均8割以上の雇用を維持 →下回ると納税猶予が取り消される 5年間で平均8割以上の雇用を満たしていなくても納税猶予を維持できる
後継者の要件に関して 直系卑属への贈与のみが対象 (60歳以上の父母・祖父母 →20歳以上の子・孫) 贈与者の子や孫ではない場合でも適用可能 →猶予取消し時に過大な税負担が生じない
  

事業承継税制を利用するための要件

さて、この制度を使うことのできる主な要件をご説明いたします。
まず、会社が上場しておらず中小企業者に該当することが前提です。
要件を満たさないのは、風俗営業会社や資産管理会社、特定特別関係会社が上場会社(大会社)などです。

先代経営者については、会社の代表者であったこと、そして、相続開始直前において50%超の議決権数を保有していたことです。
後継者の主な要件については、相続開始日の翌日から5ヶ月を経過する時点で会社の代表者であること、そして、相続開始時点で50%超の議決権数を保有することです。

納税が猶予される相続税(または贈与税)及び利子税の額に見合う担保を、税務署に提供することです。
具体的には、納税猶予の対象となる会社の株権を提供します。

メリットとデメリット

メリットとデメリット
このように、制度利用者の負担が大幅に軽減されたことにより、相続税・贈与税の納税猶予制度のハードルが下がり、多くの経営者にとって使いやすいものとなりました。

政府にとっても、中小企業の事業承継を積極的に促進させたいという意図もあり、事業承継税制はこれまでに何度か緩和の方向で改正されていますので、更なる要件の緩和なども期待できるかもしれません。



しかしながら、一方で制度の申告期限から5年間は後継者が会社の代表者であり続ける必要があったり、経営体制を長期的に崩せなかったり等の厳しい要件もあります。

また、この制度の歴史がまだ浅いため、対応できる税理士が少ないということも挙げられます。
ご検討の際は、事業承継に強い税理士にご相談することをお勧めいたします。